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歯磨き粉選びのポイントと
注意点を解説

歯磨き粉を買う時には、どんな基準で選んでいますか?「好きなタレントがCMしている」「パッケージが可愛い」といった理由で歯磨き粉を選ぶ人も少なくありません。 とはいえ、ドラッグストアには数百種類の歯磨き粉があり、どの歯磨き粉を選べば良いのかわからない人もいると思います。 そこで今回は、歯磨き粉の選び方について解説していきます。 なお、本記事では歯磨き粉の形状の違いや注意点についても合わせて解説。自分に合った歯磨き粉を知り、効果的に歯磨き粉を使いたい方は是非、参考にしてください。

歯磨き粉は目的に合った物を選ぶ

歯磨き粉は、目的と悩みに合った物を選ぶのがポイントです。例えば、虫歯になりやすいから虫歯予防できる歯磨き粉が良いと思っているのに、ホワイトニングの歯磨き粉を使っているという人もいます。 悩みに合っていない歯磨き粉を使っても、期待していた効果がでない可能性が高いです。 なぜなら、歯磨き粉は配合されている成分によって、効果が変わってくるためです。 次からは、口の悩みに合った歯磨き粉の成分について紹介していきます。

虫歯

虫歯になりやすく虫歯予防したい人は、フッ素濃度が1,000ppm以上含まれている歯磨き粉を選ぶのがおすすめです。 細菌は虫歯をつくるときに酸を出しますが、フッ素が酸生成の働きを抑制する効果が期待できます。 また、口の中が酸性に傾くと、歯の表面のエナメル質が溶け始めます。フッ素は溶けた部分を修復して再石灰化※1を促す働きがあるのです。 現在、販売されている歯磨き粉は最大1,450ppmのフッ素が含まれています。フッ素濃度が高いほど、虫歯予防効果が高いと言われています。 ※1再石灰化:溶けた歯を修復して元の状態に戻すこと ただ、6歳未満の子どもがフッ素を取りすぎると歯の形成不全や変色、フッ素中毒といった症状がでることもあります。 子どもにフッ素入りの歯磨き粉を使用する場合には、フッ素濃度が1,000ppm以下であることを事前に確認しましょう。

歯周病

歯周病予防には、殺菌成分が配合されている歯磨き粉を選びましょう。殺菌作用が高いと言われているイソプロピルメチルフェノール(IPMP)、塩化セチルピリジニウム(CPC)が配合されている歯磨き粉がおすすめです。 歯周病の原因は細菌です。細菌が集まるとバイオフィルムが作られます。バイオフィルムには膜のような粘着性の性質があり、薬剤に対する抵抗力を持っているため、薬剤で殺菌しようとしてもバイオフィルムの内部にいる細菌まで殺菌することはできません。 しかし、イソプロピルメチルフェノール(IPMP)はバイオフィルムまで浸透し、内部にいる細菌まで殺菌する効果が期待できます。 塩化セチルピリジニウムは、バイオフィルムの内部まで浸透することはできませんが、口内に浮遊している歯周病菌に対して強い殺菌効果があります。

知覚過敏

冷たいものや熱いものがしみるといった知覚過敏の症状がある人は、硝酸カリウムや乳酸アルミニウムが配合されている歯磨き粉がおすすめです。 硝酸カリウムには、神経に伝わる刺激を抑える働きがあります。乳酸アルミニウムは、刺激が伝わる経路の象牙細管(ぞうげさいかん)をブロックして知覚過敏の症状を抑えます。 これらの成分が入っている歯磨き粉を使用すると、歯がコーティングされて痛みやしみるといった症状が改善しやすいです。

ホワイトニング

着色汚れを落として、本来の歯の色を取り戻したい人はポリリン酸ナトリウムやポリエチレングリコール(PEG)が配合されている歯磨き粉を選びましょう。 ポリリン酸ナトリウムには着色汚れを落とす働きの他に、歯をコーティングして着色が付きにくくする効果も期待できます。 また、ポリエチレングリコールには、タバコのヤニを浮かせる作用があります。

口臭

虫歯や歯周病が口臭の原因になる場合には、殺菌作用のある歯磨き粉がおすすめです。歯周病でも紹介したイソプロピルメチルフェノール(IPMP)、塩化セチルピリジニウム(CPC)は高い殺菌作用があるため、口臭にも効果が期待できます。

歯磨き粉のタイプ別の選び方

歯磨き粉の形状は大きくわけて3つのタイプがあります。ここでは、それぞれの特徴について詳しく紹介していきます。

01ぺーストタイプ

ペーストタイプは、一般的な歯磨きの形状です。清掃剤と発泡剤が配合されていて、汚れを落とすのを助けてくれるのが、特徴です。

02ジェル状タイプ

ジェルタイプは、水っぽく粘着性が高い形状です。粘度があることで、歯ブラシに絡みやすく磨きやすいです。 また、研磨材や発泡剤が含まれていないものが多く、歯や歯茎を傷つけにくい特徴もあります。ジェルタイプは泡立ちが少なく周りに飛び散らないため、電動歯ブラシでも使用できます。

03フォームタイプ

フォームタイプは泡状の歯磨き粉です。きめ細かい泡が口内の隅々まで広がり、しっかりと磨けます。 また、フォームタイプは研磨材を使用していないものが多く、歯や歯茎に優しいのが特徴です。うがいが簡単にでき、子どもや高齢の方が安心して使えるのも魅力です。

歯磨き粉を見直すことも大切

年齢やライフスタイルによって、使う歯磨き粉を見直すと良いでしょう。例えば、20代までは虫歯になる割合が多いため、フッ素が配合された歯磨き粉。 30代からは歯周病を発症する割合が多いため、殺菌成分が入っている歯磨き粉。妊娠中はホルモンの影響で口内が粘つきやすいため、殺菌効果の高い成分が配合されている歯磨きを選ぶ。などと、年齢やライフスタイルによって歯磨き粉を変えていくのがおすすめです。 口内の状況は、生活習慣や年齢で大きく変わる傾向があります。現在の口内に適した歯磨き粉を使うとトラブルが起きにくいでしょう。

歯磨き粉を使うときの注意点

歯磨き粉を使用する時には、次のことに注意しましょう。

01歯磨き粉を付けすぎない

歯磨き粉を付ける量は年齢によって、適量があります。下記の歯磨きの量を目安にしてください。

● 0歳〜2歳:1〜3㎜
● 3歳〜5歳:5㎜以下(歯ブラシの4分の1)
● 6歳〜14歳:1㎝程度
● 15歳以上:1㎝〜2㎝

02うがいをしすぎない

歯磨き後のうがいを何度も行うと、薬用成分も一緒に流れてしまいます。うがいは少ない水の量で1回〜2回で済ませるのが理想です。

03低研磨・発泡剤不使用のものを選ぶ

歯磨き粉には、研磨材や発泡剤が配合されているものも多くあります。研磨材が含まれている歯磨き粉で力強く磨くと歯を傷つけて、知覚過敏を引き起こす可能性もあります。

特に「知覚過敏がある人」や「なるべく歯や歯茎を傷つけたくない人」は、低研磨や研磨材不使用の歯磨き粉を選ぶようにしましょう。

また、発泡剤は泡立ちを良くするために使われていますが、口内が泡だらけになり少し磨いただけでも、しっかりと磨いた気分になる傾向があります。

「しっかりと歯を磨きたい人」や「泡立ちが少ない歯磨き粉が好みの人」は、発泡剤不使用の歯磨き粉がおすすめです。

歯磨き粉を選ぶ基準は、今の自分に合ったもの

歯磨き粉には虫歯や歯周病など、さまざまな悩みに特化したものがあります。もし、自分に合った歯磨き粉がわからない場合には、かかりつけの歯科医院で相談すると適した歯磨き粉を選んでもらえるでしょう。

この記事を書いた人

歯科衛生士 帆保智子(ほぼともこ)
帆保智子(ほぼともこ) 歯科衛生士

歯科衛生士歴10年以上。現在は、歯科衛生士の資格と自身の経験を活かして、 ライターや監修者として活動中。「専門用語の多い歯科医療をわかりやすく」をモットーに執筆している。

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