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歯石沈着のメカニズムと
効果的な予防法

歯石とは?

歯石は、歯の表面や歯茎の間に付着する固い汚れです。歯周病の原因になります。 歯石は無機質と有機質が混ざっています。無機質は主にリン酸カルシウムでできており、有機質はプラークや白血球などが含まれています。さらに、無機質には他に炭酸カルシウムが存在します。炭酸カルシウムは、唾液中のアミノ酸が結晶化してできるもので、プラークや口腔内細菌を固定する働きがあります。有機質はプラークや白血球などが含まれています。

歯石の原因、メカニズムを解説します。

歯石は、歯肉縁上歯石歯肉縁下歯石の2種類に分けられます。歯肉縁上歯石は、唾液中の成分に由来する灰白色のもので、比較的容易に除去できます。一方、歯肉縁下歯石は、歯周ポケット内や感染した組組織からの浸出液や血液などに由来する黒褐色のもので、固着力が強く除去が困難です。

歯石沈着しやすいところがあります。

一般的には、以下のような部分が挙げられます。

1.下あごの前歯の裏側

唾液腺が開口している部分で、唾液が出てくるため、カルシウムやタンパク質が多く含まれています。

2.上あご奥歯の表側

ここも唾液腺が開口している部分で、上あご奥歯はブラシが届きにくい場所でもあります。

3.出血しているところ

血液もカルシウムやタンパク質を含んでおり、傷ついた部分は石灰化しやすくなります。
これらの部分は特に注意して清潔に保つ必要があります。

歯科医院での歯石の取り方をお話します。

歯石は歯ブラシでは取れないので、歯科医院で専門的な器具や機械を使って取ってもらう必要があります。
歯石の取り方は、以下のような手順で行われます。

1.歯石の検査

歯科医師や歯科衛生士が、歯石の量や位置、種類などをチェックします。

2.歯石の除去

歯科医師や歯科衛生士が、超音波スケーラーやキュレットという器具を使って、歯石を削り落とします。超音波スケーラーは、チップの先端が超音波振動して歯石を粉々に分解して取ります。水も一緒に出てきます。キュレットは、鋭い刃がついた器具で、歯石を擦り落とします。歯石の除去には、歯石の量や位置によって、数分から数時間かかることがあります。

3.歯石の仕上げ

歯石の除去後、歯科医師や歯科衛生士が、研磨剤やブラシを使って、歯の表面を滑らかにします。これは、歯石の除去でできた凹凸や傷をなくし、歯垢や歯石が再付着しにくくするためです。また、フッ素や抗菌剤などを塗布して、虫歯や歯周病の予防効果を高めます。歯石は自分で取ることができません。

歯石沈着を予防するために

歯石沈着しやすい場所を意識して歯磨きをしましょう。

歯石が付着しやすい場所、下あごの前歯の裏側、上あご奥歯の表側、出血しているところを意識して歯磨きしましょう。

歯ブラシの仕方を工夫しましょう。

歯と歯ぐきの間にブラシを当てて小刻みに動かしたり、歯の裏側はブラシを縦にして掻き出すように磨いたりしましょう。

こまめに歯磨きをしましょう。

歯磨きのタイミング:毎食後、歯磨きしましょう。しっかり磨く時間がなければ、家で時間あるときに、徹底的に歯磨きしましょう。
間食については、歯石の予防の観点からは、なるべく控えるのが望ましいです。間食をすると、口の中のpHが下がり、歯が溶けやすくなります。pHとは、酸性とアルカリ性を表す指標で、pHが低いほど酸性が強く、pHが高いほどアルカリ性が強いということです。歯の表面はエナメル質という硬い組織でできていますが、pHが5.5以下になると、エナメル質が溶けてしまう現象が起こります。これを「エナメル質脱灰」といいます。エナメル質脱灰が起こると、歯の表面がざらざらになり、歯垢が付着しやすくなります。歯垢が付着すると、歯垢の中の細菌が糖分を分解して酸を出し、さらに歯を溶かします。この繰り返しで、歯はどんどん弱くなり、歯垢は歯石に変化していきます。間食によって歯が溶け歯垢が増えると、歯石沈着も促進されます。

フロスや歯間ブラシを使いましょう。

歯と歯の間は、歯ブラシが届きにくいため、歯垢が溜まりやすい部分です。歯磨きでは取りきれない歯垢は、フロスや歯間ブラシを使って取り除きましょう。

歯垢染色液を使いましょう。

歯垢染色液とは、歯垢色で目立たせる液体です。歯垢は目で見ただけでは分かりにくいので、歯垢染色液を使って赤や紫などの色に染めることで、磨き残しを確認することができます。 歯垢染色液を使う方法は、以下のような手順で行われます。

  1. 1.歯垢染色液を用意する

    歯垢染色液はドラッグストアや通販、歯科医院などで購入できます。液状やジェルタイプなどお好みの形状の製品を選びましょう。

  2. 2.歯磨きをする

    歯垢染色液は自分のブラッシングのチェックに使うので、まずは通常通り歯磨きをします。その後、口をすすぎます。

  3. 3.歯垢染色液を塗る

    綿棒やコットンに歯垢染色液をたっぷりと含ませて、歯全体に塗ります。歯垢染色液は服や床に付くと落ちにくいので、汚れてもいい服を着て、鏡の前で行いましょう。

  4. 4.歯垢染色液をゆすぐ

    歯垢染色液を塗ったら、口に水を含んで軽くゆすぎます。ゆすいだ水は飛び散らないように注意しましょう。

  5. 5.歯垢染色液の結果を確認する

    鏡で歯を見て、染まった部分を確認します。染まった部分は歯垢が残っている部分なので、特に注意してブラッシングしましょう。

マウスウォッシュを使用しましょう。

歯磨きだけで、歯垢を取り除くことができない場合、マウスウォッシュを使用することで、歯磨きでは取りきれない歯垢を洗い流し、歯石沈着の予防に役立てることができます。 マウスウォッシュを使用する方法は、以下のような手順で行われます。

1.歯磨きをする

マウスウォッシュは歯磨きの後に使用するのが効果的です。

2.マウスウォッシュを用意する

マウスウォッシュはドラッグストアや通販、歯科医院などで購入できます。歯石予防に効果がある成分が配合されているものを選びましょう。

3.マウスウォッシュを含む

マウスウォッシュの容器に記載されている適量をキャップなどに入れて、口に含みます。一般的には10ml〜20ml程度が目安です。

4.マウスウォッシュをゆすぐ

マウスウォッシュを口の中でブクブクとゆすぎます。口の中のすみずみまで行き渡らせるようにしましょう。ゆすぎの時間は、マウスウォッシュの種類によって異なりますが、一般的には30秒〜60秒程度が目安です。

5.マウスウォッシュを吐き出す

マウスウォッシュを十分にゆすいだら、吐き出します。吐き出した後は、水で口をすすがない方が効果的です。

食生活に気をつけましょう。

歯石ができる原因のひとつは、食事によって口の中のpHが下がり、歯が溶けやすくなることです。 食生活に気をつけることで、口の中のpHを中性に保ち、歯石の付着を予防することができます。具体的には、以下のような方法がおすすめです。

1.糖分や酸性の多い食べ物や飲み物を控える

砂糖やはちみつ、ジャムやチョコレートなどの甘いものは、歯垢の中の細菌のエサになります。細菌が糖分を分解して酸を出すと、口の中のpHが下がり、歯が溶けやすくなります。また、レモンやオレンジ、トマトや酢などの酸性の高いものも、直接的に歯を溶かす作用があります。これらの食べ物や飲み物は、歯石の原因になるので、なるべく控えるか、食べた後はすぐに口をすすぐようにしましょう。

2.ミネラルや善玉菌を摂取する

チーズやヨーグルト、牛乳やお茶などは、歯に良いミネラルを補給したり、口の中のpHを中性に戻したりする効果があります。特に、チーズに含まれるカゼインやリン酸カルシウムは、エナメル質を強化する働きがあります。また、ヨーグルトに含まれる乳酸菌は、歯周病や虫歯の原因となる悪玉菌の増殖を抑える作用があります。これらの食べ物や飲み物は、歯石の予防に役立つので、積極的に摂取しましょう。

3.食事の回数を減らす

食事の回数が多いほど、口の中のpHが下がりやすくなります。特に、間食は歯にとって大敵です。間食をすると、唾液の分泌が減り、歯垢が増えやすくなります。また、間食によって歯に付着した糖分や酸が、歯を溶かす時間が長くなります。歯石の予防のためには、食事の回数を1日3回に抑え、間食はなるべく控えるようにしましょう。

子供の場合

子供は大人よりも歯磨きが不十分だったり、唾液が少なかったりすることで、歯石がつきやすくなります。特に、下の前歯の裏側や上の奥歯の外側など、唾液腺が近くにある部分は注意が必要です。 子供の場合、以下のような方法で歯石を予防することができます。

  1. 1.正しい姿勢で毎日丁寧に歯を磨く。
  2. 2.フロスや歯間ブラシ、マウスウォッシュを使って、歯と歯茎の間や奥歯まで汚れを落とす。
  3. 3.歯科医院で定期的にプロフェッショナルケアを受ける。

これらの方法は大人でも有効ですが、子供は自分で行うことが難しい場合もあります。その場合は、親御さんや保護者さんが一緒に行ってあげると良いでしょう。

歯磨き粉の使用について

安心できる歯磨き粉として炭酸カルシウム含有の植物性のものを選ぶことが有効です。
ここでの炭酸カルシウムは、天然の植物性の成分で、歯磨き粉には研磨剤として使われます。研磨剤とは、歯の表面に付着した汚れを擦り落とす役割をするものです。歯を白くすることができます。

炭酸カルシウムは、研磨剤としてはやさしいもので、歯の表面をこすりつけずに歯を白くできます。また、炭酸カルシウムは水に溶けやすいので、歯磨き後に口の中に残りにくいというメリットもあります。

炭酸カルシウムを含む植物性の歯磨き粉は、安心できる歯磨き粉として選ばれる理由は、以下のようなものがあります。

天然由来の成分である:炭酸カルシウムは、自然界に存在する植物性の成分であるため、人工的な化学物質に敏感な人やオーガニック志向の人にも安心して使えます。

科学製品の入っていない天然の植物性の歯磨き粉は特に有効です。防腐剤や化学薬品の入ったものを使えない体質の方、子供、お年寄りでも安心して使えます。

低発泡である:炭酸カルシウムは、発泡剤として使われることもありますが、一般的な界面活性剤に比べて泡立ちが弱いです。低発泡の植物性の歯磨き粉は、歯磨き中に口の中が見やすくなり、磨き残しを防ぐことができ歯を白くできます。

自然の清涼感である:植物性の歯磨き粉は刺激が少なく、歯を白く、歯石沈着を防ぐことができます。

この記事を書いた人

大阪大学歯学部附属病院西原康(にしはらやすし)
西原康(にしはらやすし) 大阪大学歯学部附属病院

大学にて研究、歯科クリニックで勤務し主に一般の患者様、発達障害の患者様、高齢者の患者様の歯科治療を担当しております。

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