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冷たいものがしみる!
知覚過敏の原因と治し方

歯でないのに歯がしみる場合は、知覚過敏(象牙質知覚過敏症)が疑われます。
知覚過敏とは、歯のエナメル質が傷ついたり欠けたりして、象牙質が露出したために起こる症状です。
象牙質には、歯の神経につながる象牙細管が通っており、象牙細管を通って刺激が歯の神経に伝わることで、歯がしみる、痛いという症状が現れます。

歯の表面構造

歯の表面は、エナメル質、象牙質、セメント質の3つの層で構成されています。

  1. エナメル質

    エナメル質は、歯の最も外側にある層で、最も硬い組織です。エナメル質の厚さは、歯の前面で約2ミリメートル、歯の後ろで約1ミリメートルです。エナメル質は、歯の表面を保護する役割を担っています。

  2. 象牙質

    象牙質は、エナメル質の下にある層で、歯の大部分を占めています。象牙質は、エナメル質に比べて硬度は劣りますが、弾力性があります。象牙質には、歯の神経につながる象牙細管が通っています。

  3. セメント質

    セメント質は、歯の根の部分にある層で、歯根を歯槽骨に固定する役割を担っています。セメント質は、エナメル質や象牙質に比べて硬度は劣りますが、粘り気があります。

エナメル質が溶けたり削れたりしています

エナメル質が溶けたり削れたりしている場合は、知覚過敏がおきている可能性があります。エナメル質は、歯を守る最も硬い組織ですが、歯磨きを強くしたり、歯ぎしり・食いしばりをしたりすることで、摩耗したり欠けたりすることがあります。すると、象牙質が露出して、知覚過敏の症状が現れます。

原因

歯肉の退縮

歯肉の退縮とは、歯茎が歯から離れていく症状です。歯肉の退縮が進むと、歯の根元が露出し、知覚過敏の原因となります。
歯肉の退縮の原因は、大きく分けて以下の3つです。

歯周病
歯磨きによる歯肉の炎症
歯ぎしり・食いしばり

歯周病になると、歯周病菌によって歯茎が炎症を起こし、歯槽骨が溶かされます。歯槽骨が溶けていくと、歯茎が歯から離れていきます。歯磨きをする際、歯ブラシの毛先が歯茎を傷つけてしまうと、歯肉に炎症が起こります。炎症が続くと、歯肉が歯から離れていきます。歯ぎしり・食いしばりによって、歯に強い力が加わると、歯茎が傷ついたり、歯の根元の骨が溶けたりすることがあります。その結果、歯肉が歯から離れていきます。

外傷による歯の破折

外傷によって歯が破折すると、歯の表面のエナメル質や象牙質が欠け、象牙質が露出し、知覚過敏の原因となります。
外傷による歯の破折の原因は、大きく分けて以下の2つです。

スポーツや転倒などの事故
噛みつき事故

スポーツや転倒などの事故で、歯が当たって歯が欠けたり、歯が割れたりすることがあります。噛みつき事故では、噛み合わせの悪い歯が、他の歯にぶつかって歯が欠けたり、歯が割れたりすることがあります。

歯の擦り減りによる象牙質露出

歯の擦り減りによって、歯の表面のエナメル質が摩耗し、象牙質が露出すると、知覚過敏の原因となります。
歯の擦り減りの原因は、大きく分けて以下の3つです。

歯磨きによる摩耗
歯ぎしり・食いしばりによる摩耗
歯周病による摩耗

歯磨きによる摩耗は、歯磨きをする際、歯ブラシの毛先が歯の表面を強くこすってしまうことで起こります。歯ぎしり・食いしばりによる摩耗は、歯に強い力が加わることで起こります。歯周病による摩耗は、歯周病菌によって歯茎が炎症を起こし、歯槽骨が溶かされることで起こります。

酸性になり歯が溶けることによる象牙質露出

歯の表面は、エナメル質で覆われています。エナメル質は、歯の中で最も硬い組織ですが、酸によって溶けてしまいます。酸によってエナメル質が溶けてしまうと、象牙質が露出すると、知覚過敏の原因となります。
酸性になり歯が溶ける原因は、大きく分けて以下の2つです。

酸性食品や飲料の摂取
歯周病

酸性食品や飲料の摂取は、歯の表面を酸性にするため、エナメル質を溶かす原因となります。酸性食品や飲料には、柑橘系の果物や果汁、炭酸飲料、スポーツドリンクなどがあります。歯周病になると、歯周病菌によって歯茎が炎症を起こし、歯周病菌が産生する酸によって歯の表面が酸性に傾きます。

象牙質が露出すると痛みを感じるのはなぜ?

象牙質が露出すると痛みを感じるのは、象牙質に象牙細管と呼ばれる細い管が通っているためです。象牙細管は、歯の神経につながっており、冷たいものや熱いもの、酸っぱいもの、甘いものなどの刺激が象牙細管を通って歯の神経に伝わることで、痛みを感じます。

治し方

再石灰化の促し

再石灰化とは、歯の表面にカルシウムやリン酸などのミネラルが沈着して、エナメル質や象牙質が再び形成される現象です。
再石灰化を促す治し方には、以下のようなものがあります。

フッ素の摂取
フッ素の摂取は、歯の再石灰化を促進する治し方です。フッ素は、歯磨き粉やマウスウォッシュ、歯科医院で処方されるフッ素塗布などによって摂取することができます。

知覚過敏用の歯磨き粉を使う
知覚過敏用の歯磨き粉には、再石灰化を促進する治し方のある成分が含まれているものがあります。

歯の神経の興奮抑え

知覚過敏の症状は、冷たいものや熱いもの、酸っぱいもの、甘いものなどの刺激によって、歯の神経が興奮することで起こります。
歯の神経の興奮を抑える方法には、以下のようなものがあります。

硝酸カリウム
硝酸カリウムは、歯の神経の興奮を抑える治し方ができます。知覚過敏用の歯磨き粉には、硝酸カリウムが含まれているものが多いです。

乳酸アルミニウム
乳酸アルミニウムも、歯の神経の興奮を抑える治し方ができます。知覚過敏用の歯磨き粉には、乳酸アルミニウムが含まれているものもあります。

歯科医院での治療
歯の神経の興奮を抑える薬を塗布する治し方が行われることもあります。
知覚過敏の症状が気になる場合は、歯科医院を受診して、原因を特定し、適切な治し方を受けることが大切です。
知覚過敏の症状を抑えるために、歯磨き粉を替えてみるというのも重要な方法です。知覚過敏用の歯磨き粉には、歯の神経の興奮を抑える治し方ができる成分が含まれているため、歯の神経の興奮を抑え、知覚過敏の症状を改善する治し方が期待できます。

象牙質露出部の穴の封鎖

象牙質露出部の穴の封鎖とは、象牙細管を封鎖することで、刺激が歯の神経に伝わるのを防ぐ方法です。
象牙質露出部の穴の封鎖を行う治し方には、以下のようなものがあります。

知覚過敏用の歯磨き粉
知覚過敏用の歯磨き粉には、象牙質露出部の穴を封鎖する治し方ができる成分が含まれているものがあります。

歯科医院での治療
歯科医院では、薬で象牙質露出部の穴の封鎖を行います。知覚過敏の症状を改善する治し方ができます。

象牙質の露出部分の被覆

象牙質の露出部分の被覆とは、象牙質が露出した部分を歯科医院にて被せ物や詰め物で覆うことで、象牙細管を封鎖し、刺激が歯の神経に伝わるのを防ぐ治し方です。

神経の除去

神経の除去とは、歯の神経を取り除く治し方です。知覚過敏の症状が重度で、他の治療法で改善が見られない場合や、虫歯が進行して歯の神経が炎症を起こしている場合に行われます。
神経の除去は、知覚過敏の症状を完全に改善する治し方です。
ただし、神経を除去すると、歯の神経の役割を果たせなくなるため、歯の寿命が短くなる可能性があります。また、歯の根元を削るため、歯が弱くなる可能性もあります。

予防法

知覚過敏の予防には、以下のことに気をつけましょう。

歯磨きの仕方を見直す

歯磨きをする際は、歯ブラシの毛先を45度に傾けて、歯と歯茎の境目を丁寧に磨きましょう。歯ブラシの圧力は弱め、ゴシゴシと強く磨かないようにしましょう。

歯ぎしり・食いしばりをやめる

ストレスを溜め込まないようにしたり、ナイトガードと呼ばれるマウスピース型の器具を装着したりすることで、歯ぎしり・食いしばりをやめる治し方です。

フッ素の摂取をする

フッ素の摂取は、歯の再石灰化を促進する治し方です。フッ素は、歯磨き粉やマウスウォッシュ、歯科医院で処方されるフッ素塗布などによって摂取することができます。

カルシウムやリン酸の摂取をする

カルシウムやリン酸も、歯の再石灰化に必要な栄養素です。カルシウムやリン酸の摂取は、牛乳や乳製品、魚介類、緑黄色野菜などの飲食でできる治し方です。

定期的に歯科医院で検診を受ける

定期的に歯科医院で検診を受けることで、虫歯や歯周病などの早期発見・早期治療につながります。虫歯や歯周病の進行を防ぐことで、知覚過敏のリスクを減らすことができます。

歯磨き粉の使用について

安心できる歯磨き粉として炭酸カルシウム含有の植物性のものを選ぶことが有効です。
ここでの炭酸カルシウムは、天然の植物性の成分で、歯磨き粉には研磨剤として使われます。研磨剤とは、歯の表面に付着した汚れを擦り落とす役割をするものです。歯を白くすることができます。

炭酸カルシウムは、研磨剤としてはやさしいもので、歯の表面をこすりつけずに歯を白くできます。また、炭酸カルシウムは水に溶けやすいので、歯磨き後に口の中に残りにくいというメリットもあります。

炭酸カルシウムを含む植物性の歯磨き粉は、安心できる歯磨き粉として選ばれる理由は、以下のようなものがあります。

天然由来の成分である:炭酸カルシウムは、自然界に存在する植物性の成分であるため、人工的な化学物質に敏感な人やオーガニック志向の人にも安心して使えます。

科学製品の入っていない天然の植物性の歯磨き粉は特に有効です。防腐剤や化学薬品の入ったものを使えない体質の方、子供、お年寄りでも安心して使えます。

低発泡である:炭酸カルシウムは、発泡剤として使われることもありますが、一般的な界面活性剤に比べて泡立ちが弱いです。低発泡の植物性の歯磨き粉は、歯磨き中に口の中が見やすくなり、磨き残しを防ぐことができ歯を白くできます。

自然の清涼感である:植物性の歯磨き粉は刺激が少なく、歯を白く、歯石沈着を防ぐことができます。

この記事を書いた人

大阪大学歯学部附属病院西原康(にしはらやすし)
西原康(にしはらやすし) 大阪大学歯学部附属病院

大学にて研究、歯科クリニックで勤務し主に一般の患者様、発達障害の患者様、高齢者の患者様の歯科治療を担当しております。

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